今、読まないでいつ読むんですか。「戦争語彙集」

ウクライナは私にとって《美男美女の国》なんです。留学中に出会ったウクライナの青年はハンサムでした。在独中、同僚だったウクライナの女性は美人でびっくりするくらい年齢不詳でした。そう、美魔女なんて言葉がかすむくらい若く見えました。

そんな風にウクライナの方と接する機会がちゃんとあったのに、ウクライナ語を壱語も解さないなんて、この「戦争語彙集」を読みながら、とても恥ずかしくなりました。

スラブ系の言語で、ロシア語と共通する言葉だという知識はあるのですが、文字もアルファベットにプラスアルファで見慣れない文字がいくつかあり、この本の中に出てくる単語も全く読めません。

ロバート・キャンベルさん。クイズ番組で日本人以上に日本語を知っている博識のアメリカ人という印象を受けましたが、雑誌などで和服をお召になったお姿を拝見しました。日本への造詣がとても深い方で、そんな方が日本人に代わって素晴らしい本の和訳をしてくださったという、なんとも畏れ多い御本です。

戦禍にあるウクライナまで著者や周りの方の声を直接聞きに出かけられたという勇気には、もう脱帽というか、平伏してしまいます。

当事者にしか分からない感覚・想い・願い、などなど。本当によく吟味された言葉に訳されているようで、日本語力の確かさ、ロバート・キャンベルさん、凄すぎます!

プーチンが圧倒的な票を獲得して再選されましたが、あれは、大多数のロシア市民が諦めの境地から投票した結果なのでしょうか。それともナワリヌイ氏のように権力の犠牲になることを回避するためのやむを得ない行動によるものなのでしょうか。

戦争を正当化する愚かな独裁者を誰も止められない現状。

この本の中で、とても印象に残ったエピソードがありました。

家は壊されてしまった。作るには時間があまりにかかり過ぎる。でも大好きな花は、今すぐ育てることができる。まず、出来ること、やれること、とにかく前に進めることを何かする。

そんな人間の辛抱強く健気な営みの素晴らしさに、私は心の中で拍手喝采をウクライナに向けて送りました。

地道な一歩一歩がいつか希望の実を結びますように。