「かがみの弧城」で本屋大賞を受賞されている辻村深月さん。他の作品でも、子供の心理描写が抜群に繊細でうまく、読みながら何度も唸らされました。
この「琥珀の夏」は新聞小説だったという舞台背景にもまた驚かされました。これほどの大作が、あの細切れのスペースから生まれたことに、感動を覚えます。
ピュアなだけじゃない、子供の微妙な心の移ろいを、こんなにまで克明に綴れるのは、辻村さんの子供時代が琥珀にしっかりと残してあるからではないかと、タイトルに事寄せて想像してしまいます。
サスペンスというべきか、法定モノでもないし、カルト教団の暴露でもないし。
新しいジャンルを切り開いた、辻村さんの傑作です。
帯に「新たな代表作」とありますが、その表現は全く過大ではありません。ぜひご一読を!