椎名誠さんの大代表作「岳物語」。椎名さんのあったかい日本語が大好きで、長い海外旅行に出かける時は、必ずスーツケースに2冊(本書と続)をしのばせておき、日本語が恋しくなると、ホテルの部屋で、しばしシイナワールドに飛んでいました。
父と息子の関係は独特のものがあるのでしょうね。岳君の成長ぶりや、その後椎名さんに孫ができたくだりなど、体当たりでの子育て・孫育てには、ほのぼのとした気分にさせられます。
父との別れがあったので、それを機会に、全巻読みなおしてみました。プロレスごっこ(というにはあまりに激しそうですが)や釣りの話、学校の先生をもかしずかせそうな、岳君の《真っ当な》わんぱくぶりには、胸がワクワクしますね。
私と父の関係は、どちらかと言えば「放任主義」で、良く言うと”手のひらで転がされていた”感じでしょうか。私は鉄砲玉のように海外へ飛び出してしまったのですが、大事な首根っこは父に摑まれていた気がします。
在独中、両親を呼びよせ、一緒にヨーロッパ旅行を敢行しました。父は当時もう還暦を超えており、しかも海外バージン(その時初めてパスポートを取ったのです)だったにもかかわらず、私の予想を上回る行動力を発揮し、私を驚かせてくれました。まさに、この父にしてこの娘ありと言った感じですかね。
椎名ファミリーの系譜は、愛読者ならしっかり頭に焼き付いているものです。もし未読の方がいらっしゃったら、ぜひ、「岳物語」から読み始めてみてください。古いハナシですが、子育ての基本がつまっています。正しい親子関係を築きたい方に、とても参考になるヒストリーです。