実はウチは、要介護2の父を母が世話している、老々介護家庭。この「新しい認知症ケア」の編集協力をしている東田勉氏の「認知症の『真実』」を読んで、薬について、医師の選び方について、勉強し直そうと思い、大きな本を借りてきました。
薬のメーカーは変なルールを医師に押し付けるのですね。アリセプトのレセプト規則が、3mgで開始し2週間後から5mgに増やさないと保険が通らないことがある? 私の嫌悪する厚生労働省が出てきました。厚労省の指導により、増量処方に従わなければ、保険が通らない場合、報酬返還で医療側の全額負担になってしまう。。。患者の容態を無視した、こんな薬品メーカーの理不尽な処方を鵜呑みにして、厚労省は何を考えているのでしょうか?
中島京子さんが書かれた「長いお別れ」の中には、アルツハイマー病の新薬として〈メマリー〉という薬を主人公が手に入れようと奮闘するシーンがあります。しかもこの薬が福島で製造中、東日本大震災で被災したため、発売が延期されたというコアなエピソードが小説内に盛り込まれていました。
このメマリーにも、徐々に増量するというルールが存在します。認知症の治療は、まだ始まって30年しか経っていない分野で、医師が神様ではない世界なので、介護者のセンスを信じて、古い権威主義は捨てるようにと、河野医師は書いています。薬品メーカーのレセプトを盲目的に踏襲し、患者を重症化させているケースが多数あることを知るにつけ、ぜひ多くの医師にこの本を読んでほしいと思わずにはいられません。
河野医師は、薬品メーカーの謳うルールにはのっとらず、あくまでも患者の容態を診て、薬量を自在にアレンジされています。薬剤過敏性等も考慮し、錠剤を割るなど、最低量よりさらに少ない処方をしたりして、各々の患者に合った、きめ細かい治療をなさっておられるのです。
また、ご自分の経験から得られた知識を、広く多くの人に知ってもらうためにも尽力されています。コウノメソッド実践医の育成のため、処方を公開し、全国でコウノメソッドが受けられるよう、名簿も作ってネットにも掲載しています。
介護や自分自身の老化は、時間が経てば、やがて自分の身にも訪れる、避けられない課題です。間違った医療で、ツライ目に遭ったり、周りに迷惑をかけたりすることのないよう、正しい情報を収集し、いざという時に備えたいものです。