幼い頃、住んでいた家は、前庭を通らなければ玄関に辿り着けませんでした。夏になるとバッタが盛大に跳び交い、虫が苦手だった私は、毎日半泣きで家に入っていました。
そんな私には、バッタに身を捧げるような前野 ウルド 浩太郎氏の趣味嗜好は、ちょっと異次元めいていて、恐れおののくというか、ただただ信じがたいと言おうか。
まあ、蓼食う虫も好き好き、と言いますし、私の趣味や好みも、他人に理解されにくいものだってありますから、とりあえず話を進めますね。
西アフリカにあるモーリタニアという国で、ひたすらバッタの研究を続けた著者・前野 ウルド 浩太郎氏の渾身の記録。ものすごおおおく大変だった様子は、ひじょおおおうに良く伝わってくるのですが、とにかく笑えるのです。もう、抱腹絶倒。
体験が特殊で、しかも表現が絶妙だから、気の毒でたまらないエピソードなのに、笑いがこみあげてきて止まらない。これを課題図書にするというのは、とても賢明な選択だと思います。
Z世代が、IT疲れで、リアル体験を渇望し始めたというニュースに触れ、まずは液晶画面から離れて、紙の本へ! という流れを作りたいものです。
定価920円+税で、この本が買えるというのは、ものすごくありがたいですね。
光文社さんにも御礼申し上げます。