佐治敬三と開高健、サントリーをサントリーならしめたコピーライターの存在

佐治敬三と開高健。この二人の関係を表すのに「友情」も「コンビ」も「兄弟のような」もみんな陳腐に思えます。まさにタイトル通り《最強のふたり》がふさわしいと言えるでしょう。

リクルート在籍時、求人広告のコピーライティングを主な業務にしていた私にとって、開高健氏はまさに《神》。サントリー商品の広告のコピーを読みながら、何度も「ははあ!!!<m(__)m><m(__)m>」と恐れ入って、自分のボキャブラリーと表現力の貧弱さを呪ったものです。

その《神》の才能を見出し開花させたのが、サントリー二代目社長の佐治敬三氏、という事実をこの本で知り、今更ながら佐治社長に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

もし私が就活していた当時、もっとよく経済紙や企業情報誌などを熟読していたら、間違いなく”サントリー”を就職先に渇望した(採用されたかどうかは別にして)と思えるくらい、佐治氏は魅力的な方です。「やってみなはれ」精神。いいなあああ!!! せめて一目でいいからお会いしたかったです。

お二人の関係と歴史が詰まった見事な偉人伝。ドキュメンタリーとして評伝として、非常に完成度の高い作品です。夢を追いかけた二人の濃厚な人生を、ぜひ味わいながら読んでみてください。