パレスチナ・イスラエル問題の教則本「ガザに地下鉄が走る日」

テロリストはなぜテロリストになり、テロ行為をするのか。

一般人には遠く及ばない思考回路のように思えるのですが、この本が突き付けてくる事実・事象は、彼らの行いの理由を私のような呆けた頭でも分かるように、脳天をぶん殴り、心に突き刺さってきます。

タイポフェイスが上品で、ハードカバーの装丁もとても洗練されていて、怖ろしいガザの状況が淡々と綴られているのが、妙にリアル。だからこそ胸に迫ってくるパワーに圧倒されました。

みすず書房の出版する書籍は、社会派揃いというか、アカデミックとはまた違い、生きていく指針を見つけるための有益な素材がラインナップされている感じですね。きちんと正座して「拝読いたします」という気持ちになるような、ありがたい本が数多く提供されています。でもそうなると、《大ベストセラー》になるのは難しそうですし、月刊誌も休刊中とのことで、なかなか経営維持が大変なのではありませんか。

この「ガザに地下鉄が走る日」。著者・岡 真理さんのおさえた文体が却って残酷さを浮き上がらせるようで、日本で平和ボケしている私には【猛省】を促す、あまりに尊い本です。

非人間的な無差別・無秩序が日常の世界に身を置く人、特に子供たちが、そのような暴力が当たり前の世の中しか知らなければ、私たちが享受している《ごく普通の平和な世》を目の前にした時、

世界を許すことができるか?

ものすごく重い問いです。自分たちは見捨てられていると感じるのは、ごく当前の反応と言えるのではないでしょうか。

この世界に対する怒りと絶望を「自爆」という形で表すのは、人間として理解可能なのです。だからこそ、反戦を訴え続けること、世の不条理に立ち向かっていく気持ちを表現し続けることを、私たちは忘れてはいけないのです。

読むのに勇気が要る本でした。でも読まなければならないと痛切に感じさせる1冊でした。

TOUTEN BOOKSTORE の古賀店長による推薦本。しかと拝読させていただきましたm(__)m