感動の歌集 滑走路 萩原慎一郎

三十一文字に込める感情。あまりに切なくて、早逝されたという事実に打ちのめされてしまいました。

いじめという過酷な現実。こんなにも素敵な言葉を紡ぐことができたのは、非情な環境によって生まれた魂の叫びだったからなのでしょうか。

俵万智さんによって認知された口語短歌が、萩原慎一郎さんによって見事に羽ばたいた。この「滑走路」という歌集、まさに《完成系》です。石川啄木の

はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢつと手を見る

という有名な短歌を飛び越えている、現代人の気持ちを代表する現代語短歌が盛りだくさんです。

日本語の美しさに、久々に心が震えました。短歌、いいですね。第一歌集が遺歌集となったことが惜しまれてなりません。