バックパッカーのバイブル・深夜特急

深夜特急・文庫版全6巻 沢木耕太郎著

インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗り合いバスで行くーまるで「ローカル路線バスの旅」というテレビ番組のグローバルバージョンみたいですが。1年以上にわたるユーラシア大陸の放浪。旅行好きなら垂涎ものの旅を当時26歳だった沢木耕太郎氏が成し遂げました。

全ての仕事を投げ出しての旅をしたのは、奇しくも私も26歳の時でした。スケールはグンと小さくなって、ドイツ語圏25日間の周遊、ユーレイルパスを使っての、リッチで貧乏な旅でしたが。

ユースホステルに連泊すれば、豪華なお城のホテルにも1泊だけ泊まる。手荷物はリュックサックだけど、ほとんどの荷物はサムソナイトのスーツケースの中。というなんともチグハグないでたちで、ヨーロッパの酸いも甘いもまとめて味わい尽くすといった感じでしたかねえ。

たった1カ月足らずでしたが、未熟者だった私の精神は、かなり鍛え上げられました。帰国した時に友人から「顔が変わった」と言われたくらい。元々はユルいベビーフェイスですが、幾分引き締まったシャープな顔になっていたようです。1週間ほどで、また緩んでしまいましたが。

深夜特急を知ったのは、大沢たかおさんが主演された劇的紀行からです。かっこよかったですねぇ♡ 沢木氏も渋い男前なので、本の世界にもすぐにはまりました。

NHKラジオ第一放送の「地球ラジオ」には自転車で世界旅行する人や、人力車で仕事をしながら地球を旅する人なども出てきますが、皆さん、タフですねー。

日本にはどんどん外国からの留学生が増えて、インターナショナル化していますが、日本人自身ももっと世界に出て、コスモポリタンな人が増えればいいなと思います。

最近の若者は海外旅行に臆病な人が多いそうですが、ぜひ、この深夜特急を読んで、勇気を持って、海外に足を踏みだしてほしいですね。世界を見れば、人生観が変わって、平凡な毎日に対する感謝の気持ちも生まれます。

FERNWEH(フェルンヴェー・遠くへ行きたい病)が強い私。せめてこの深夜特急を読んで、行った気分を味わいましょう。全6巻、長いようで、あっという間です。