壮大な恋愛小説「自転しながら公転する」

2021年10月13日に58歳で亡くなられた山本文緒さん。惜しい方が逝かれてしまいました。ずっと体調をくずされていたそうで、この「自転しながら公転する」は7年ぶりの新刊長編小説だったとのこと。

じっくり味わって読むつもりでしたが、そのストーリー展開の絶妙さにぐんぐん惹き込まれ、あれよあれよという間に読み終えてしまいました。

林真理子さんの YouTube の紹介で出会った作品で、正直なところ山本文緒さんの作品は直木賞受賞作の「プラナリア」しか読んでいません。

でも、これは本当に《スゴイ》小説です。中央公論文学賞と島清恋愛文学賞をダブル受賞されているのも素直にうなずけます。

極端な例かもしれませんが、先ごろご結婚された小室眞子さんのお気持ちを、いろいろ想像して比較してみました。皇室という衆人環視の環境を厭い、自由を求めて民間に嫁がれた、と私は解釈しているのですが。眞子さんが圭さんに賭けた(?)人生と主人公・都が貫一にどうしようもなく惹かれる心情が、私には不思議にシンクロして見えるのです。どなたか、このわけのわからない私の心象を上手に分析・解説してくれないものでしょうか。

読後感を誰かと共有したくなる、包容力いっぱいの傑作です。もっとたくさん書いて欲しかった! 山本文緒さんのご冥福をお祈りいたします。